雨のパレードを対バンとして招いたオーラルの主催ライブを観てきました。
2018-2019年頃はめちゃめちゃハマっていてワンマンや主催イベントにも足を運ぶほどであったオーラルなのですが、もうすっかりご無沙汰になっていまして、なんと4年ぶり...。前回はというと、コロナでライブがすべて中止になる直前にこのキャラバンサライで観たSUPER BEAVERとのツーマンであったことで、忘れられるワケもなく印象に残っているライブです。
18:20頃会場に到着。すこし時間としては早いもののすでに入場列が形成されはじめていることで、このキャラバンサライは入場に時間がかかってしまう会場であったことを思い出す(今にして思うと、フロアの形状と入り口の位置が関係しているのでしょうか。整理番号が後の方の人が入場するタイミングで、スタッフの方の合図とともにすでに入場を終えている人たちが一歩前に進むというやりとりもありました)のですが、そんなことすら懐かしく思えてしまうというのもここに来るのが4年ぶりだからこそ...。高知のライブハウスでは基本X-pt.にばかり足を運んでいるという実感こそあったものの、それにしたって随分長い時間が経っている、ということをあらためて感じたり。個人的には、フロアに解放感があって好きな会場であるということもあり、もうちょっと来る機会が作れたらなあ、と思うのですが......とかそんなことを考えながら入場。久々にオーラルのライブに来たことによる緊張を飲酒でごまかしているうちに、19時を5分ほどすぎたあたりで場内が暗転、先行・雨のパレードのライブが始まります。
※MC、演出などへの言及がありますが、ニュアンスを汲み取って触れるというのが主になると思います。
言ってみれば、楽曲を事前に聴いてきたワケではないために曲名とかは一貫してわからず、という中でも、なんとなくのイメージでオシャレなんだろうなと思っていたのがあっさりと覆されるのは、ビートの強力さと、海外のポップスの影響を感じられる垢抜けたサウンド、そしてどこかアンニュイな雰囲気を醸すボーカルの福永さんの存在感によって。
まさに醸し出される空気に浸りながら身を揺らすという、そういったムードが非常に心地よかったのですが、そんななかで曲単位で印象に残った(家に帰ってから調べた)のは、ボイスサンプリングを交えたイントロがカッコイイ1曲目『Yellow Gold』、縦ノリのビートがナマだと強烈な『Praying Hands』、事前に持っていたイメージド真ん中の『Tokyo』、合唱パートがキャッチーな『Summer time music』、ラストに演奏された『Morning』あたり。とくに『Yellow Gold』は刺さってくるものがありましたね。
自分の趣味嗜好に従ってライブに行っていると、こういったタイプのライブをするバンドを観ることってなかなかないだけに、これはまさにオーラルがもたらしてくれた出会いだと言えます。新鮮なライブ体験でした。
雨パレのセトリラスト1曲が『Morning』という楽曲であったことにより、どこか荘厳ともいえるような空気を残して去っていったことで、このあとオーラルが出てくるという事実と結びつかないようなところもあるのですが、それもまた対バンの面白さ。ただ、よく考えてみたところ、対バンライブを観ること自体も冒頭に書いた4年前のライブぶりという...。4年ぶりのオーラルのライブを、4年ぶりにきたハコで、4年ぶりの対バンライブという形式で観るという、なんだかいろんなことが噛み合った、そんな日でもあったような気がします。
そんなことを考えていると、転換中にメンバーがみずから登場し、サウンドチェックを行うという、オーラルくらいのポジションになるとなかなか見ることがない光景が。あえて、ライブハウスでやるという意味のひとつに、この距離感の近さというのもあるのだろうなあとも思ったりします。そして、サウンドチェックを終えたメンバーが捌けて少ししたところでド派手なSEが。後攻・オーラルのライブが幕を開けます。
お馴染みの四本打ちから突入していく1曲目はなんと『Shala La』ということで、今日のオーラルのモードが完全にライブハウスモードであることが感じられるのですが、それは続く2曲目『GET BACK』、3曲目『STARGET』(ナマでははじめて聴いた...)でも同じく。全部、いろんな意味で序盤からこれやるの!?というオドロキに充ちた選曲だったのですが、ダイバーまで登場するほどの盛り上がりとなったのが、もう心からわかる、というものでしたね...。
そういった熱狂を経て一度目のMCへ。曲中あれだけ盛り上がっていたのに演奏が止まったらめちゃめちゃ静かなことに対して、やまたくからツッコミが入ったことでファンからもさまざまな声が聞こえてくるようになった(観客の自我が出過ぎるとヘンなことになることが多いのですが、ここで全然そうなっていなかったのはバンドとファンの絶妙な信頼関係ゆえな気がしてます)のですが、そんななかでひとりのファンから「高知でなに食べた!?」という質問が。やまたくは「おうち!?」と一回聞き返した上で、高知ではまだ食べられていない(入り時間が午前だったらしい)としながら、翌日がオフであることで、今夜は飲みに行く(たしかそういう話の流れだったはず...)し、明日はバーベキューをするという予定であるということを明かしていました。
そんな良い意味でゆるいやりとりを経て、高知が思い入れのある土地であるということを話すのですが、それというのも4年前に行った対バンツアーがSUPER BEAVERと行った高知公演を終えたあとに中止になってしまったから。そういった背景があった上で、今回10年近くの付き合いがあって、8年前にもここ高知で対バンライブを行った雨パレとまた高知に来れたのが嬉しいと話していたのですが、このMCから続いていくのが、なんと『Tonight the silence kills me with your fire』という、まさにその4年前の対バンツアーのタイトルにもなっていた楽曲! 日替わり枠でこの選曲をしたということが粋でしかなくて否応にもテンションを上げさせてくれるし、なにより、こういった土地土地でのストーリーがライブに組み込まれているのを実感できたときこそが地方在住の数少ないメリットを感じられます。真赤な照明のなかで演奏するメンバーの姿もひたすらにカッコイイです。
そんな『Tonight the silence kills me with you』で生み出されたムードそのままに奏でられはじめるのが『ENEMY』というこれまたハードな楽曲。Kamuiさんのラップパートを丸々やまたくが歌うという姿には、彼のルーツのひとつにヒップホップがあるということを如実に感じられるという瞬間もありました。
と、このように、ここまでの2曲が非常にハードな流れだったからこそともいえる、まさにその空気を浄化するかのような響きを持つのが、続く『LOVE』です。振れ幅の凄まじさというのは感じつつも、それでもこの曲の大団円感たるや。すさまじい多幸感をもってして前半戦の締めくくりとなりました。
ここで2度目のMC。やまたくが『LOVE』の手拍子が間違っているということを指摘するSNSの声に触れ、おどけた口調でありながらも、各々の楽しみ方を尊重するという意図で「フェスやから~」、「裏取れん人もおるし~」と話したことについて、「ヘンな入りかたしてしまった...」と自戒するのが面白いのですが、その流れで、次に演奏する曲が「大切な曲」であることを話し始めます。激しい曲はこのあとまたやるからとのことで、一回みんなで歌おうと言って演奏し始めたのは『YELLOW』。冒頭からフロア一丸となって歌う光景の美しさ。それを目の当たりにして、よりこの曲が持つメロディーの美しさに胸打たれていました。ナマで聴いたからこそ、より好きになる曲があるという、そういう瞬間があるからこそライブに足を運ぶのはやめられないのですが、この日においては、この『YELLOW』がそうであったと思います。
メロウな雰囲気も残るなかで、楽器隊から性急のビートが弾き出され、これは?と思っていたのですが、なんと『カンタンナコト』! 今ってこんな入りなんだなあと思いつつ、この盛り上がりというのはコロナ前から変わらず。そして、この盛り上がりを更新するのはまたしてもライブならではのイントロが追加されたアレンジで突入していく『狂乱 Hey Kids!!』です。このあたりまでくると、ダイバーもかなりの数出ていて、個人的には懐かしくもある、まさにオーラルのライブらしい光景であると感じられました。
そんな熱狂を生みだしたところで、やまたくが話し始めるのが「ライブを観に来るのではなく、ライブに遊びにきてほしい」という言葉が印象的だった、こうしたライブの場を守っていきたいという意思。このなかで、さきほどダイバーの圧で崩れかかったときに観客同士が助け合っていたことを挙げた上で、ダイブ・モッシュ論争にも触れ、そういったので嫌な想いをした場合はSNSでじゃなくてこの場で直接話してほしい(自分たちにでもいい、というニュアンスもあったような)と話します。
このように、現在どんな想いでライブをしているのか、というのはコロナ前もしっかり伝えてくれていたことなのですが、大分間が空いてしまってなおこういったMCがあることで彼の根本はまったく変わっていないことが強く感じられるという瞬間でもありました。
こういったたしかな意思が籠ったMCから繋がっていくのが『5150』という、観客の大合唱も含め、非常にエモーショナルな瞬間を生み出す1曲。演奏された位置、そしてコロナ禍の制限を乗り越えたというタイミングもあってか、今まで何度か聴いてきた中でももっともグッとくるものがありました。それは、ラスサビでリフトをする人たちが発生しまくることでステージが見えないという光景が帰って来たという感慨も含め。
そんなブチ上げまくった後半戦もピークを迎え、いよいよラストの曲。この日の本編を締めくくるのは『聖夜』という、壮大なスケールを誇るバラードです。それこそ、やまたくが「オーラルの単独でなく、いつか仲間たちと一緒に東京ドーム立ちたい」(ニュアンスです)ということを途中のMCではなしていたのですが、この楽曲のスケール感はまさにそんなドームでも遜色なく響くものであろうと、そう感じました。
一度捌けたメンバーがアンコールに応えてステージに再登場...と思いきや、登場するのはまさやんだけ。「まさやんショッピング」(いつものタイトルコールがあったのですが、めちゃめちゃ体全体を使うように、言ってみればロック歌手みたく、言っていたのでパワフルだなあと感じたり)の時間です。とはいえ、この日はワンマンではないということで、物販の紹介は無しの「さわりだけ」ということで、MCへ。まさやんショッピングの真似してる人がいるからいいねしてます、ということや、普段からめちゃめちゃ歩くのでこの後も歩くかも、というような内容が主であったような...。
まさやんショッピングが終わり、残りのメンバーも登場したところで、まず話し始めたのはあきらさん。曰く、洗濯をし忘れていたことでライブ後に履くパンツがないということで、どうしようかなあということだったのですが、観客のうちのひとりが「買ってきます!」ということを言ったところ、やまたくに「舎弟か!笑」と突っ込まれるくだりがあってめちゃめちゃ笑いました。つづいて、しげさん。こちらもパンツの話だったような気がするのですが、ボーッとしている瞬間があり、重要なところを聞き逃して何を話していたのかわからず...。残念...。
そんなパンツすぎる流れだったことで、やまたくが「もう話すことないんで、曲やりまーす!笑」と告げ、徐に『MACHINEGUN』の演奏へ。ラストまですさまじい熱量でした。
こういった、ワチャッとしたフロアを生み出すバンドのライブは本当に久しぶりにきたことで、開演前は若干の緊張もあったのですが、いざ始まってしまうとやっぱり楽しかったですね。というのも、ダイブ・モッシュという前のめりな観客の熱によって、バンドの演奏が相乗効果を起こして熱くなっているのがダイレクトに感じられるし、それを遠巻きに見ている自分もまたいっしょに熱くなっていく感じがあるという、そういった感覚があるから。
本当は昨年末のレディクレで観られるはずだったのがキャンセルになったリベンジという意味合いでも、観られて良かったと、たしかに思うようなライブでした。
セットリスト
01. Shala La
02. GET BACK
03. STARGET
MC
04. Tonight the silence kills me with your fire
05. ENEMY
06. LOVE
MC
07. YELLOW
08. カンタンナコト
09. 狂乱Hey Kids!!
MC
10. 5150
MC
11. 聖夜
en. MACHINEGUN