ヒトリエのファーストテイク、まさかのおかわりまで...。しかも『オン・ザ・フロントライン』...。
ちょっと前に公開された『アンノウン・マザーグース』は、リーダーにとって、バンドにとって、そしてバンドのファンにとって、ボカロのファンにとって......それぞれにそれぞれの尺度での想いがあるというほどに大きな影響力を持った曲であるがゆえ、こういう多くの人の目にふれる場で演奏することに対して諸手を挙げて100%最高という気持ちにはなれなかったりする(少なからず軋轢が生まれる瞬間があるから。だからこそ、3人はつよいなとも思うのですが)というのが本音なのですが、3人で作った曲を3人で演奏する分にはもうそういうのは一切生まれる余地がなく。フラットなきもちでカッコイイな~と思いながら楽しむことができました。なんなら、ここで聴いたことがきっかけで「だから僕は行くのだろう その先へ」という歌詞が、結成10周年を迎えたヒトリエに向けて上げている狼煙のように感じられて、これまでよりもずっと鮮明に響くようになったというくらい。
とりあえず、なんにしたって、スリーピースロックバンド・ヒトリエの最新形(とくに『オン・ザ・フロントライン』)が普段はリーチしようがない人たちの目に触れる機会になるであろうことが嬉しい、というところですね。もうそこに尽きるかなというかんじです。メジャー10周年を迎えたバンドがこれだけメディアにピックアップされる機会というのもなかなかないですし、これが弾みになったらいいな、という。活動規模が極端・急激に小さくならないままコンスタントに活動し続けてほしいし、それをこの先も観続けたいというのが最近の私のきもちですね...。
で、そんなイレギュラーというか予想だにしていなかったのがファーストテイクへの出演でしたが、それとは逆に、かねてから発表されており、あとは発売日を待つだけとなっていたwowakaさんの歌詞集。こちらがついに発売となりました。歌詞掲載以外での、本書のおおきなトピックとしては深く親交のあったミュージシャンたち(じん、田淵智也、ピノキオピー、堀江晶太、米津玄師という錚々たる面々)から寄せられた寄稿文の掲載というところがまず挙げられると思います。それぞれの関係や思い出からwowakaさんへの想いが綴られていたことでそのどれもが胸打つものだったのですが、個人的にもっとも共感という部分で感じるものがあったのはじんさんの文章。個人的な親交がありながらも、それと同時にバンドマン・wowakaのファンであるということが胸が痛いほどに伝わってくる文章でした。
そして、その寄稿文とはべつに、個人的にもっとも楽しみとしていたものがヒトリエメンバーそれぞれの視点から書かれた、各ヒトリエ作品へのコメント。コメントというくらいですから、ある程度簡潔なものではあったのですが、だからこそ、その作品を制作した時のリーダー(若しくは作品そのもの)についてもっとも印象に残っているであろうことが端的に書かれていることで、それぞれがそれぞれに、リーダーと、そしてヒトリエとどういった関係を築いていたのか、というのを垣間見ることができました。各個人にスタンスがありながらも、その根底には共通して、リーダーが産みだすもの、そしてリーダー自身への信頼、そして愛がある、と、改めてそういったことを感じずにはいられなかったです。
こういった強烈な信頼関係を結び合えるメンバーと巡り合いロックバンドとして音楽の純度を高めていく日々のなかで、wowakaというバンドマンとして、そしてひとりの人間として、あらたなステップを踏んでいくことができたこと......それはリーダーの人生にとってどれほど良かったことでしょうか。そんなことを思いめぐらせていると、ヒトリエがこの4人でよかったなと心から思わずにはいられません。
でも、それだからこそ、今回初蔵出しとなった『NOTOK』の歌詞(ワードのチョイス的にも晩年に書かれたものであるような気がしています)なんかも踏まえた上で、まだまだこの4人での続きを観ていたかったなという思いが生まれてしまうんですよね。もしも今もリーダーがいたならば、一体どんな曲を生みだして、一体どんなライブをしていたんでしょうか。想像がつきそうで、つかないです。
- 281. ピラミッドダンス feat. ケンモチヒデフミ / 夜の本気ダンス
- 282. Crush me / 夜の本気ダンス
- 283. Eternal Sunshine / 夜の本気ダンス
- 284. LOVE CONNECTION / 夜の本気ダンス
- 285. Take it Back / 夜の本気ダンス
281. ピラミッドダンス feat. ケンモチヒデフミ / 夜の本気ダンス
2023年10月にリリースされたデジタルシングル。
作詞作曲がケンモチさん、アレンジメントが夜ダンとケンモチさん共同で、という体制で制作された楽曲なのですが、もう、とにかくそのユニークさですよね。とくにそのシュールな歌詞は水曜日のカンパネラともガッツリ地続きの感じがあります。ただ、こういったユニークさに夜ダンのサウンドが負けないどころか、見事ドッキングさせて、しっかりとキラーチューンとして昇華しているのがスゴいところ。これからもライブで演奏され続けてほしい楽曲です。
で、ここで取り上げたというのもナマで聴いたから。シュールきわまりない振付も含めて、めちゃめちゃダンサブルでスゴかったです。
282. Crush me / 夜の本気ダンス
メジャー4thフルアルバム『dip』収録曲。
テンポが速く楽曲自体の演奏時間自体も短いことで、ショートチューンという向きが強い楽曲なんですが、このノリって夜ダンでは結構新境地感ありますよね。ナマだと、より破壊力が増しててカッコよかったです。
283. Eternal Sunshine / 夜の本気ダンス
メジャー3rdフルアルバム『Fetish』収録曲。
バンド名のとおり、ダンスチューンがレパートリーの大半を占める夜ダンなのですが、じつはかなりのメロディーメイカーであり、それをまさに証明するようなミドルテンポのナンバーがこちら。UKの香りもするメロディーラインがあまりに美しく胸に迫るんですよね...。
こちらも先日参加したライブでセトリ入り。本編前半のしめくくりと言えるようなポジションで演奏されたのですが、その前半のなかでもいちばんっていうくらいに印象に残りました。
284. LOVE CONNECTION / 夜の本気ダンス
1stシングル『B!tch』のカップリングとして世に出た後、メジャー1stアルバム『DANCEABLE』に再録の上で収録された楽曲。
↑で夜ダンのことをメロディーメイカーだと書いたのですが、彼らのダンスチューンのなかでもそのメロディーの強さを最大級に感じられる楽曲だと思っています。個人的には、2サビ前の韻を踏みまくる箇所のメロディーラインがすこぶるお気に入り。こちらも先日のライブで。
285. Take it Back / 夜の本気ダンス
メジャー3rdアルバム『Fetish』収録曲。
こちらもバンドおなじみの爆裂ダンスチューン......なのですが、そのクールな歌唱とキーが低めのメロディーラインが、リリース当時の夜ダン新機軸というかんじもある1曲です。2019年にナマで聴いて以来大好きな曲なのですが、そもそも今回取り上げた『Eternal Sunshine』とかこの『Take it back』をはじめとする『Fetish』の収録曲って、ちょっとどれも良すぎるという...。『Sweet Revoltuion』とか『Magical Feelin'』とか、2019-2020年頃はくるったように聴いていました。
で、ここからは余談。今週前半はほとんどヒトリエ以外の音楽を聴けていなかったため、夜ダンのライブに行ってなかったら5曲も挙げる曲なかったんじゃないかという気がしています。そろそろネタ切れになるのか?と心配にもなるところ。同じ音楽ばかり聴いていて、インプットが足りてないというのは確実ですが、べつにブログ書くために音楽聴いているワケでもないし、そのために新規開拓するっちゅうのもなんかヘンな話ですしねえ。とりあえず、500曲が当面の目標というかんじですが、道は未だはるか遠く...。