2024/01/24 ヒトリエ HITORI-ESCAPE 2024 ~10-NEN-SAI~ Day2:青 @恵比寿リキッドルーム

前日に引き続き、ヒトリエのライブです。

 

 

初日の感想はこちら

そういうわけで2日目です。今日こそは前日買えなかったTシャツ(とあわよくば福袋)を入手するぞと意気込んでいたのですが、せっかく関東来たからと、吉村家に行ったり、ニディガ展2に行ったり...と色々しているうちに完全に出遅れてしまい、リキッドルームに着いたのは15:30。とはいえ、開始時間よりは早く着いたし...と若干余裕ぶっこきながらも入場すると、すでに長蛇の列。結果的に、レジを目前にしてロンTすらも完売し、タオルとラババンと缶バッジしか買えず、残念無念...。都会のライブの物販に行くときは今度から開始1時間以上前から並ぶようにします...。

とはいえ、本題はグッズよりもライブですからね。気を取り直してしっかりとロッカーに荷物を預けた上でこの日は前方で観ることに。そして、19時になったところで場内が暗転、青い照明がステージを照らすなか、前日と同じSEが鳴り始めてメンバーが登場し、2日目のライブがスタートします。

※この後、MCの書きおこしがあります。内容自体は恐らく大丈夫だと思うのですが、言い回しとか言ったタイミングが違うということは大いにあり得ますので、この点を留意いただけますとこれ幸い...。

 

ヒトリエです、よろしくどうぞ!」という号令とともに、歪んだギターの轟音と激しいビートが。1曲目は前日の本編ラストを飾った『センスレス・ワンダー』です。この瞬間、一気に前方へ圧縮が起きますが、(ヒトリエにかぎらず)こんな光景自体ちょっと久しぶりに観たなあとか思ったり。そういえば、ギターソロでイガラシさんと背中合わせになっていた記憶がある(この日は、前日よりも記憶が曖昧)のですが、その姿があまりにカッコよすぎて声でました。大興奮の1曲目でしたが、ここで少し変化球的なドラムビートが奏でられはじめ、これは?と思っていると、つづくのはまさかの『darasta』! カップリング曲にも関わらず、イントロから大歓声が上がり、「ダラスタッタッタッタッ...」の部分では大合唱が起こるほどの、とにかくすさまじい盛り上がりです。そんな初っ端から性急な立ち上がりでしたが、一転、次なる3曲目はバンドのアンサンブルのスケールの大きさを感じさせる『curved edge』です。4人体制時代のヒトリエの楽曲にはあまり見られなかった重厚なビートがとにかくカッコイイ...。

ここで一息ついてから、「インターネットからやってきました、ヒトリエです!」(ここじゃなかったかも...)という、最近のライブではお馴染みになっている挨拶(wowaka色が濃かった前日は言ってなかったので、そこは敢えてかなと思ったり)をしたところで、トリッキーかつ中毒性の高い楽曲『ゲノゲノゲ』へ。ライブでたびたび披露されてきたことで、サビの歌唱が力強くなっており、よりカッコよさが増していると感じられます。続いて演奏された、ヒトリエ史上最大級にポップな『風、花』もまた同様にライブで演奏されるなかで育ってきた楽曲ではないでしょうか。最後のフレーズを、ギターを高く掲げてピッキングするシノダさんの姿はとても印象深い瞬間です。

ポップな余韻を残しながら、ここで10周年コール。前日同様に全開から少しずつボリュームを落としていくという流れがあったのですが、声が聞こえなくなった瞬間、一部の観客が「10周年!10周年!」と言い始めたため完全に主導権を握られてしまって、シノダさんが「顔覚えたからな!笑」と突っ込む瞬間が愉快でした。と、そんなやり取りがあった流れで、披露されたのがwowakaさん作の『SLEEPWALK』。ライブで演奏された期間は現在の体制のほうがすっかり長くなり、事実上3人で育ててきた曲であると思います。縦ノリの熱っぽい盛り上がりが鮮烈な光景を生むのがお馴染みなのですが、ただ、個人的な話、先行試聴会で聴いたときから大好きな曲で、かつ『HOWLS』のツアーでのwowakaさんの軽やかなパフォーマンス(一度しか観れてないですが...)があまりにも焼き付いているため、今こうしてあの時とはまた違うテイストの盛り上がりを見せている様子を目の当たりにすると、しんどくなってしまうというのは否定できないところがあります...。色々と吹っ切れてきたので、よくやる曲に関しては大体大丈夫になって来たのですが、これだけはちょっと未だに...。

とか、そんなことを思ったりしながらも、とりあえず気を取り直します。もう受け入れられないままならそれも仕方ないよなと思っているところもあるにはあるので! ここで再びMCなのですが、次はなんと前日やったものとは違う初披露の最新曲をやるとのこと。これはさすがにうれしい! で、その曲なのですが、ギターレス(同期の音源にもギターは入ってなかったような記憶があるような...)で、雰囲気としては『Neon beauty』に近い感じでしょうか。雰囲気としてはダンサブルなかんじ(そこまでイケイケではないけど)で、ベースは歪んでなかったと思います。サビの入りなんかは、ドラムのフィルが入るようなかたちで結構わかりやすい構成だった気も...。こう書くと、全然覚えていないな...という感じがするので、また聴きたいところです。

演奏が終わったところで、「オシャレだったでしょ?誰が作ったと思う?」と問いかけが。なんとなく、この言い方に含まれるニュアンスが「意外なメンバーが!」という感じもあったためか、イガラシさんとゆーまおさんの名前が結構上がっていたのですが、答えは明言されず(ちなみに私はイガラシさんかなと思いました)。ここで「さっきは最新の曲をやりましたが、今度は最古の曲をやります」ということで、ライブにおける最定番曲のひとつ『カラノワレモノ』へ。前日の『アンチテーゼ・ジャンクガール』のように、緑色のレーザーが激しく射出されており、非常に印象深かったです。

ひたすらジャンプして、脚の筋肉を苛め抜いたところで、アームを用いた軽めのギターソロを前置きにはじまったのが『るらるら』。『カラノワレモノ』とともに、デモCDに収録されていた楽曲ということでそのあたりのつながりも感じさせる流れですね。シノダさんは仰向けに倒れてギターソロを弾くほどの爆アツっぷり。最近はライブ行くたび聴けていますが、毎回テンションが上がります。

一気に場内の空気も暖まったところなのですが、ここで奏でられ始めたのがコードを中心としたゆったりとしたギターソロ。ちょっとこの時点ではピンとこないところもあったのですが、何度かフレーズを繰り返したのちに聴き馴染んだピアノの旋律が。『フユノ』です。もうずいぶん長い間演奏されていなかった(それこそ3人体制では一度アコースティックアレンジで演奏したのみらしい)ということも相俟って、周囲からはすすり泣くような声が...。それは本当にわかる...。まさにこの1月という季節にピッタリの選曲でした。

ここでMCタイム。ギターを持ち変えて、「去年ローンで買ったテレキャスターデラックスです。ハムバッカーが乗っているので、攻撃的な音が出るようです(この辺、早口でもっといろいろ言っていた)。ここからは攻撃的な曲が続くので、ご自愛ください。」ということで、イガラシさんが赤いスティングレイを持っていることからも、(さてはこれは『ジャガーノート』だな?)なんて思っていると、いざ始まった曲は、まさかの『LACK』。『フユノ』に引き続き、こちらも随分久しぶりに演奏された曲(2020年のFCライブ以来らしい)なのですが、最近結構聴きたいと思っていたのでクリティカルヒットです。嬉しい。ちなみに、間奏でハモるように重なっていくギターフレーズは、イガラシさんのベースでカバーされていました。そんな意外な選曲(とはいえ、この曲の歌詞は現在のヒトリエにも重なっていく感じもある)で驚かせてくれたあとに続くのは、「次の曲は悪意をお届けします!『ジャガーノート』!」という前口上とともにはじまる、『ジャガーノート』。MCで話していたとおりゴリゴリにロック的な流れです。そこからさらに畳み掛けるように、ギターのみでコードを掻き鳴らしたあとで10周年という時間の長さに準えた前置きとともにタイトルがコールされた『3分29秒』へと突入するのですが、初めてナマで聴いたとき(『PHARMACY』のリリースツアー』)はあまり馴染んでいなかったのが、こうしてライブで観る回数を重ねてきたほどにしっくりきている感じがあります。

『LACK』にはじまり矢継ぎ早に楽曲を連発してきたこのセクションも遂にここでクライマックスということで、ライブではお馴染みの追加イントロから突入していくのは『ハイゲイン』。明確に観客が声を出せるようなフックがあるものの、リリース時期の関係で声出しは長い間できず、また去年3月に声出しが解禁されてからもワンマンライブにおいては演奏されていなかった(夏のFCライブを除き)ので、満を持してという感じすらもある楽曲です。そんな楽曲であるがゆえに、シノダさんは1回目のAメロから「歌え!!!」、「もういっちょ!!!」と、観客の合唱を求めるのですが、待っていたとばかりに全霊を以て応える観客の姿はここまでか!という熱気を纏っていますし、シノダさんはその光景を見て笑顔を見せるときもあるといった様子で、これには、バンドとファンのお互いがこれを待っていたという感慨に充ちている、そして『ハイゲイン』の真価が遂に発揮されたと感じられて、この2日間で1番グッときました。演奏後「やばいね...。こういう景色が見たくて『ハイゲイン』を作ったのよ...。」と感極まりながらシノダさんが話していたのですが、これにはもう心から頷いてしまうほどの、美しい瞬間だったと思います。

そんな感動的な演奏を終えたところで、前日と概ねおなじ内容の、この10年間を振り返るMCがあるのですが、この流れであるために、かなりエモーショナルな雰囲気も。そして、「リーダーの作った曲をやります。」と告げて、はじまったのは『青』。wowakaさんの個人的な別れをきっかけにしてできたこともありそもそもが強い寂寥感を纏ったサウンドの曲なのですが、現在のバッキングギターがないアレンジからはそれをより強く感じ取ってしまいます。ただ、歌詞はそういった出来事を踏まえながらも、あくまで前を向いているもので、現在進行形のヒトリエの姿勢ともリンクするものです。結果的にこの日のセットリストが3人体制で制作されたものが中心となった上でそういった内容を統括するようにこの曲順で『青』が演奏されたということ、そしてこの日のテーマとして「青」という名前が与えられたこと、それには、現在のヒトリエの核にはこの曲に込められた想いと同じものがあるのだろうな、と、あくまでも個人的にではありますが、思ったりもしました。

そして、さらにエモーショナルを更新するように、「フルボリュームで」歌うことを促されたのが『アンノウン・マザーグース』。近年は冒頭に演奏されるサビ部分でシノダさん→観客と交互に歌うアレンジが定番(あくまでも地方では、なので、都市部では違うのかも...)となっているのですが、この日はもう一発から阿吽の大合唱。声出しが解禁されて以降のライブで聴くこの曲には、毎回強い感慨のようなものを感じています。

割れんばかりの合唱を生み出したのちに、いよいよ次が最後の曲であることを告げて、この日の本編を締めくくる楽曲へ。ギターの爆音と力強いビートの中でシノダさんが曲名を絶叫しながら、荒々しいストロークが炸裂するイントロへ突入します。『ローリンガール』です。モッシュが発生する(コロナ前ぶりに巻き込まれた...)ほどに衝動を掻き立てるその音はまさにヒトリエだからこそ作り得た、というその凄まじさを感じました。

メンバーが掃けてから、アンコールを待つもう一回コールがはじまったところで少し待っていると、シノダさん(走ってでてきた)を先頭に再びメンバーが登場。「これだけやれば満足でしょ!」と笑顔で言ったあと、おもむろにこの日もタオルを掲げるのですが、前日に比べてタオルの所持率はかなり高め。これには、違うタオル持っている人にも「許そう」と寛大な姿勢です。そして、ここからは恒例のメンバーそれぞれのMC(ちなみに本編にかなり手応えがあったからか、3人ともこの日はニッコニコで話してました)。

 

シノダ「10-NEN-SAIはじまったばかりですからね。ヒトリエSNSを全部フォローしてチェックしておいてくださいね。あと、俺のXをフォローしろ。日記にもいいねしろ。動員に対して、いいねが少ない。いいと思っていないやつがいる!笑」
客「してるよー!」
シ「してるやつはいいんだよ。ということで私からは以上です!笑」

 

ゆーまお「(10周年!やった!ゆーまおさん!というようなコールアンドレスポンス)」
シ「途中、はっぱ隊みたいになってたけど笑。」
ゆ「あなたのと被らないようにね。」
ゆ「2日で被り1曲...。こんなに変えたのは初めてじゃないですか?」
ゆ「そういえば、今日新曲やったじゃないですか?あれ誰の曲だと思います?って聞いた時、イガラシ、ゆーまおって声に対して、シノダというのが少なくて笑。なんか、オシャレじゃないみたいになってた笑。あれ、作ったのはイガラシです。あと、もう一曲はシノダです。」
ゆ(シだったかも)「(イガラシを見て)、オシャレに気取ってる!アンニュイな角度で!」

 

イガラシ「変わらないなあと思うことがあって。楽屋にソファが3つあって、テーブルがあって、椅子が2つあるとするじゃないですか。シノダって、1人で3つソファ使うんですよね。荷物と、使ってないギターと、ギターの調整する道具となんかしょうもないやつで。去年もリキッドルームでライブしたんですけど、その時、俺ソファ使いすぎだな、と言ってたので、あっ気づいたんだなと思っていたんだけど。で、今日また全部使ってた。」

 

シ「いやー、9年目のときはなんで気づけたんだろう...。
客「のびしろー!!」
シ「いまの話、のびしろの要素あったか?笑」
シ「(ギターを構えてから)日々精進!日々成長(もう一個なんか言ってたけど忘れた)!...そういう言葉が嫌でバンドマンしてんのになー...笑。ウーン(顔を覆って泣き真似)。」

 

という内容のMC(まじでざっくりです)を終えたところで、前回のツアーでもやっていたのと近い感じの8分でカッティングを入れるようなメジャー調のギターフレーズを弾いたところで「ヒトリエより愛をこめて!!」という前口上ではじまるのが、近年のヒトリエを象徴するような1曲である『ステレオジュブナイル』。2019年以降は3人での活動を本格化しようとしたタイミングでの流行病も含めた上で、いちファンでは想像もできないほどの苦難の連続であった道程だったと思いますが、それでもこうして10周年を迎えた上で立ったステージ上で「最終回にしたくない」と歌う、この姿の頼もしさたるや...。ここまできたら、15周年だって、20周年、30周年だって、見届けたいという気持ちになるほどです。

そんな2日間を締めくくるにこれ以上相応しいものはないという曲を演奏し終えたところで、突如ド派手なレーザーが。

 

 

9月15日に日比谷野音でのワンマンライブが決定!!! ワンマンとしては過去最大のキャパです。ずっと、ヒトリエが好きな人が集まって、『アンノウン・マザーグース』を合唱する光景を観たいと思い続けてきました。ついにその機会が...。しかも、野外で。こんなに嬉しいことはないです。当日は晴れるといいな。

 

ライブを見終えた上で、改めて2日間のセットリストを見比べていると、それぞれが単に3人体制の曲、4人体制の曲というだけでキッチリと分割されたものではないということに気づきます。

青と赤ということで、その意図は(あくまで想像にすぎないのですが)、炎の色で喩えるところの、激しく燃え上がる赤、静かでありながらもたしかに強い青であったように感じました(また10周年の象徴としての『センスレス・ワンダー』のジャケットのカラーリング)。まさにアッパーの極致であった初日である赤と、エモーショナルな2日目である青ということで、まさにヒトリエが持つ2つの側面をそれぞれに凝縮したような内容だったと思います。そこには、10年代のムーブメントであった「踊れるバンドサウンド」というところに留まらず、このバンドが鳴らすからこそという芯があるからこそ、熱烈に支持され続けているヒトリエの強さが現れていました。

wowakaというバンドマンが灯し、一度は消えかけた炎を絶やさないままに進み続けてついに10周年を迎えたヒトリエはいまもこんなにもカッコいいぞ、というそんな気持ちです。

 

こんな最高な1年のスタートを切ったんだから、この1年間は間違いなく良い年になるだろうとそう思えた2日間のライブでした。

 

 

セットリスト

01. センスレス・ワンダー
02. darasta
03. curved edge
04. ゲノゲノゲ
05. 風、花
06. SLEEPWALK
-MC-
07. 新曲 (イガラシ作)
-MC-
08. カラノワレモノ
09. るらるら
10. フユノ
-MC-
11. LACK
12. ジャガーノート
13. 3分29秒
14. ハイゲイン
-MC-
15. 青
16. アンノウン・マザーグース
17. ローリンガール
en. ステレオジュブナイル

 

 

 

前に観た時の感想

 

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