2024/01/23 ヒトリエ HITORI-ESCAPE 2024 ~10-NEN-SAI~ Day1:赤 @恵比寿リキッドルーム

2024年のライブはじめです。

ヒトリエのメジャーデビュー10周年を祝するライブに参加してきました。

 

 

今年のヒトリエは「10-NEN-SAI 計画」という文言とそれにまつわる10のトピック(その内容はリリースであったりライブであったり)を主軸として、精力的に活動するということを明言しているのですが、そのうちのひとつが、この2デイズにわたる10周年ライブです。それぞれが異なる内容になるということは事前に発表されているというとおりで、濃い2日間になることはまず間違いないだろうというところ...。

会場は恵比寿リキッドルームで初めて来る会場です。都内のライブハウスと言えば、というハコのうちのひとつであると思うのですが、これまでなかなか機会がなかったことでようやく来れたという感じがあります。到着がギリギリになってしまったことで、カバンやコートをロッカーに入れるための小銭を用意できなかったので、この日は所謂大人見。

※この後、MCの書きおこしがあります。内容自体は恐らく大丈夫だと思うのですが、言い回しとか言ったタイミングが違うということは大いにあり得ますので、この点を留意いただけますとこれ幸い...。

 

18時ジャストあたりで会場が暗転。それとともにステージは赤色の照明に染まり、この日のテーマである「赤」を思わせます。その中、激しさすら感じさせるテクノ調のSEとともに、ストロボライトが激しく光る中で、シノダさんを先頭にメンバーが登場。各々が持ち場に立ち楽器を構えたところで、シノダさんがギターの轟音を鳴らし、いよいよライブが幕を開けます。

「トーキョー!!!ハッピーニューイヤー!!!」とシノダさんが叫んだあと、カウントとともに鳴らされたのは、1曲目から爆裂するような『SisterJudy』! 一瞬にして、フロアが熱気に包まれるのですが、この時点で気付いたのが音がめちゃめちゃクリアということ。リキッドルームの音響良すぎではないですか...。全部の楽器の音が分離してクリアに聴こえる...なんて、そんなことに驚いているうちにあっという間に2曲目に。シノダさんが腕を上げてグルグルまわして歓声を煽ってからはじまるのは勿論『モンタージュガール』ということで、初っ端からの必殺コンボ。激熱の流れですが、そこからさらに畳みかけるように、16分のリズムが印象的なお馴染みのドラムソロにはじまる『日常と地球の額縁』(この曲、ストレートにロックバンド!!ってかんじがしてナマで聴くたびに最高!!ってなります。さらに言うならばドラムの音が最高)と、もう飛ばしまくりのセトリです。

これには客席からは興奮冷めやらぬという雰囲気の歓声が上がりまくるのですが、ギターをおろしたあとで、それを「シッ!」(人差し指を口に当てて)とシノダさんが制し、すかさずはじまるのが打ち込みサウンドとバンドのグルーヴが融合したダンサブルなナンバー『Loveless』です。個人的には、京都、高松と参加した『HITORI-ESCAPE TOUR 2019』ぶりに聴いたのですが、そうして久しぶりに聴いたことで、前よりもずっとずっと良い(元々良かったのがより良くなったというニュアンス)と感じられて、ヒトリエがこの5年間でさらに進化を遂げていることを感じました。とくに後半の「ひとりぼっちの部屋で泣くのが~」あたりで右肩にギターを掛けて歌うシノダさんの姿はカッコよすぎるし、3人の音がバチバチにぶつかり合うようなアウトロの演奏は最高だし、ギターソロのもっとも盛り上がる部分でその場でジャンプながらくるくると回転し、それでいて同時に演奏をこなすシノダさんのフィジカルの衰えなさには恐れ入るし...と、まだ4曲目なのに大ハイライトみたいな演奏でした。

「こりゃやられたな~最高すぎる、本当に...」なんて思っていると、やはりフロアからは凄まじい大歓声。それを再び「シッ!」と制して始まったのは大名曲『Namid[A]me』です。幻想的なムードも感じられる曲なのですが、サビ前のスネア連打をきっかけにエモーショナルなスイッチが勢いよく入るのがたまらなく好きです。一気にフロアがメロウな空気に包まれたところで、続くのはメジャーデビューシングル『センスレス・ワンダー』のカップリングとして10年前、世に放たれた『さらってほしいの』。この2日間のなかではこの曲だけは初めてナマで聴いたのですが、改めてこの旋律の美しさには感嘆するばかりです。

ここで1度目のMCタイム。10周年ということで、全員で「じゅっしゅーねん!じゅっしゅーねん!」と叫ぶ、はたから見たらきっとシュールすぎるであろう10周年コールが行われるのですが、途中で声を少しずつ小さくなったりする、遊び心(?)みたいものが楽しいです。その後、続く曲が「精神的にも、肉体的にもハードな曲」(「ハード」という部分に関しては言い回しが違ったかも)だと話した上で、「次、3人になってからは初めてやる曲をやります」というオドロキの宣言。もうこの時点ではなにをやるのか予想もつかないのでなんか逆にドキドキしているところに、鳴り始めたイントロの電子音はなんと『アンチテーゼ・ジャンクガール』! 2019年の2月に行われたライブ以来にセトリ入りを果たしたのですが、これがもうものすごい盛り上がり(この日は大体どの曲も大きな歓声が上がってましたが、この瞬間はとくにスゴかった)。シノダさんの前フリが効いていたのもあるとおもうのですが、それでもヒトリエのファンみんながこの曲を待っていたことを感じました。緑色のレーザーが何本も照射される照明もド派手でスゴかった...。この時点ですさまじいサプライズというかんじなのですが、サプライズはまだ続きます。

ここでシノダさんがノイズを鳴らしたので、(『インパーフェクション』とかかな)なんて思っていると、それとは違うテンポでカウントが。なんだろうと思っていると、突如鳴らされた鋭いギターリフは、なんと『ワールズエンド・ダンスホール』! あまりにも唐突だったため、リアクションが遅れてしまいながらも、気付いた瞬間にはめっちゃビックリしました。前フリが一切なかった分、『アンチテーゼ・ジャンクガール』よりもビックリしたかもしれません。まさか、2曲連続で3人になってしまってからやっていない曲をやるとはさすがに思ってもいない...。まさか、やるとは...。そして、ライブでの『ワールズエンド・ダンスホール』と言えば、ラスサビのメロディーが若干被る部分での、wowakaさんとシノダさんのボーカルのスイッチングだったのですが、この日はどうするのかなと思っていると歌うことを促された(「枯れた地面を、歌えーーー!!!」だったのか、ロックバンドのライブでよくあるメロディーの語尾を上げるやつだったのか記憶が怪しいのですが、なんか前者だったような...)ので、「世界の隅っこでワン・ツー」までかなと思い歌っていると、大合唱は結局ラストの一節まで止まず。もう、これスゴい光景でした。ヒトリエが3人になっても続けると決めたからこそ、そして声出しができるようになったこのタイミングで初披露になったからこそ、という瞬間だったと思います。

演奏を終え、シノダさんが「どんなもんじゃい!」と言ったのとともに、一瞬照明が暗くなり、息つく間もなく始まったのは『(W)HERE』(記憶が定かじゃないので、小文字。ここでリーダーのカウントに合わせて、ステージ中央にきたシノダさんと観客とでカウントしてたような記憶があるんだけど、どうだったけなあ...別の曲だったっけ...)。3人になってからはやる頻度が結構多いというイメージも強いのですが、自分が行くライブでよくやっているからそう思うだけなのかもしれません。前2曲からの流れだったので、いつもより熱い雰囲気だった感じも。

まさに怒涛、という感じのセクションでしたが、ここで一息ということで、軽めのMCが。「ここまでリーダーの曲ばっかやってるんだけど、次は『HITORI-ESCAPE TOUR 2023』でやった新曲やります。」ということで、披露されるのは曲名不明のあの新曲。2日目のMCでこの曲がシノダさんの作曲であることが明かされたのですが、こうしてクリアな音で聴くとメロディーなんかもよく聴きとれて、たしかにめちゃくちゃシノダさんの曲だ...と思いました。聴くのまだ2回目なんですが、すでにめちゃくちゃ好きなので、音源化待ってます...。

ここで再びMC。これが最新のヒトリエの曲ですが、とはいえ、最新の俺たちが演奏しているから過去の曲も最新になっているという趣旨の話をしたあとで、「次はリーダーが作った名曲中の名曲をやります」というので、(『カラノワレモノ』とかかな?)と思っていると、「アーユーレディー!?アンハッピーリフレイン!!」という叫びとともに、はじまったのが『アンハッピーリフレイン』。まさにこの日最大級の盛り上がりを見せたセクションが幕を開けます。「このビートが鳴り始めたということは皆さんは踊る以外にありません」(激ニュアンス)という文言にはじまる『トーキーダンス』、『シャッタードール』(Cメロ前のギターリフで、緩急をつけるようなピッキングがされてて新鮮でした)と、過去のライブでも盛り上がりのピークを担ってきた楽曲のオンパレードで、コロナ禍以降に観てきたあらゆるバンドのライブでは間違いなく一番だと言えるほどに熱気が凄まじいフロアを見ながら、「赤」ってこういうことかー、なんてことを思ったり。そして、『シャッタードール』のラストのキメを鳴らしたところで、とどめと言わんばかりに間髪入れず歪みまくったベースが。「新年一発目のオンベースイガラシ!」ということで、始まるのは勿論『踊るマネキン、唄う阿呆』(シノダさんはイントロ一発目のギターリフを弾き損ねている場面もあったり)。も~~この時、まじでスゴいセトリを組んできたな、と心から思いました。実際、最近のヒトリエって、モードとしては割と落ち着いた感じもあるのかな、と思っていたりするところもなくはなかったのですが、私の眼は節穴でした。デビューから10年が経って歳を重ねてなお、こういったフィジカルで攻めていくようなライブができるなんて。本当にスゴかったです。

シノダさんは満身創痍という様子ではありながらも、「これだけやれば楽しいでしょ」という一言。本当に、これだけ思い切ったことをやってくれたことについて、(たかが1ファンですが)もう感謝するしかないです...。ここで、ヒトリエがメジャーデビュー10年に到達できたことについてのMCが。

「リーダーがいなくなっちゃって。納得いかない気持ちもあったし、追悼会のみんなを見てたらまだまだエネルギーが有り余ってる感じがして。エスケープツアー2019をまわって、ってしていたら、10年が経っていた。10年と言ってもあっという間ではなかった。」「10年前、『センスレス・ワンダー』でデビューしたんだけど、あの曲のリフ、俺が考えていて。それでいて、歌ってしまいまでしたから、乗っ取ってしまった感じがある...笑。『10年後のセンスレス・ワンダー』というシングルをリリースをしたことでようやく腹がくくれた感じがしています」「と言っても、まだ気持ちはルーキーなんだけど。なんでかと思ったら、俺まだ歌い始めて5年しか経っていないんだった...笑。」「こうして10周年を迎えられたのは、ここにいる人や、ここには来れなかった人、また一瞬でもバンドに関わってくれた人たちがいたからこそです。ありがとうございます。」(記憶の断片を文章化しているのでその時に言っていた表現のままではないですが、内容はこういうことだったはず...)

そんなまさに思いのたけを語ったような内容のMCに続いて披露されたのが『プリズムキューブ』。この日イチくらいにありったけの感情をこめた力強い歌でした。そんな歌にはMCの内容ともリンクする瞬間があったように思います。

そうして、いよいよ本編もラスト。ラストは、先日10周年を記念して装い新たにリリースされたばかりの『センスレス・ワンダー』です。イントロでの「ラストーーー!!!」という絶叫と、アウトロでの「ありがとーーーー!!!」という絶叫に、センスレス締めはやっぱり最高だなあと感じられます。

アンコールのもう一回コールが発生してから少しして、メンバーが再びステージへ。ここでシノダさんがはじめたのがこないだのツアーから続く、物販のタオルを掲げるくだりなのですが、違うタオルを掲げている人がいることを指摘し「俺は人の顔を覚えるタイプだ」と、ナゾに厳しくあたるのがちょっとおもしろいです。ちなみに、私は到着がギリギリすぎたので買えませんでした。このくだりを見て、普段はあまり買うことがないタオルを明日は買おうかなと思ったので、昔インターネットでみかけたE.YAZAWAが売れ行きの悪いカラーのタオルをスタッフに聞いてそれをステージに持っていくことでめっちゃ売れるという逸話並みの販促力がありそうだ、なんてことを思ったり。ちなみに、このくだりが終わったあたりで、徐に10周年コールが始まった(観客から自然発生的に起こっていた記憶がある)のですが、「シッ!」と、強制終了させられていました。

ここでアンコール後恒例のメンバーそれぞれのMCへ。

 

シノダ「(イガラシをみながら)誰だよ、このセトリ考えたやつ!?『アンチテーゼ・ジャンクガール』って書くのは良いんだけど、どうやってやるの!?」
イガラシ「シノダ、ありがとう!」
シ「『ワールズエンド・ダンスホール』も!書くのは良いんだけどどうやって!?...結局、パワーでゴリ押すかんじに...笑」

 

シ「リーダーいなくなっちゃって、3人でやってるんだけど...。曲って普通自分が歌う事を想定して作るんですが...作曲してる人いる?(ちらほらいた) リーダーが作る曲は高いし速いし落ちるし、文字数多いし...。おれ、元々ギターロックやってたんだけど...笑」

 

ゆーまお「10年って、シノダがあっという間ではなかったと言っていたけど、おれは、スーッときたって感じがしていて。でも、積み重ねてきたものがあるね。リハーサルしてるとき、インナーの上にニット着ていて、でも暑かったから、ニット脱いでインナーだけになったら、(メンバーとかスタッフから)なんか筋肉だね~って言われて...。」
シ「20代の頃はもっとオタクくんって感じのガリガリだったもんね...」
ゆ「(結論として)20代と30代の体は違う!」

 

イ「そういえば、思い出したんですけど。5周年のときに『ピザ』っていうオリジナルドリンクを作ったんですけど、あのときそれを改良して10周年のときに出すって言ってたのを忘れてました。もしかして、怒ってる人いる? 10周年イヤーのどこかでやろうと思うので、飲みたくなくても来てください」(初日はクソまずかったのをERAのバーカンのスタッフさんがトマトジュースを変えるとかして改良してくれて、最終日にはおいしくなっていたというくだりもあった)

 

シ「やろっか...。やりましょう、やりましょうかね~...(ギターを構えながら)。10周年イヤー色々やりますんで、SNSチエックしておいてください。偽物の生配信アカウントには騙されないで!笑 明日来る人も、来ない人も、10周年よろしくお願いします。次、リーダーがいなくなってから最初にスタジオで3人でやって、最初に人前でやった曲で終わりたいと思います。今日は本当にありがとうございました。」

 

ということで、この日のライブを締めるのは大名曲『ポラリス』。ナマで聴いたのは久しぶりなのですが、未だに、リーダーが歌っている声と姿があまりにスゴかったということを思い出してしまいますね。でも、こうして、ライブハウスで聴いて、あの時のリーダーのことを思い出して...ということができるのもヒトリエが今も活動してくれていて素晴らしい演奏をし続けてくれているからこそ、なのです。心から感謝しています。

 

初日が終了。結果的に、セトリの殆どすべてがwowakaさんの曲となったことでそのライブの雰囲気には少し懐かしさすらも感じるのと同時に、『カラノワレモノ』とか『アンノウン・マザーグース』、『ローリンガール』あたりの、wowakaさんのとくにエモーショナルな部分が詰まっていて周年でやらないはずがない曲が演奏されず。そういうこともあって、個人的な印象としては、ヒトリエのライブにおける、頭を空っぽにして踊り狂って、という部分での熱狂を指して「赤」と名付けたのかと思ったりもしました。その通り、凄まじい熱狂でした。

おもに、あの頃を振り返るような方向性のセトリではたしかにあったと思うのですが、そこはしっかり、「泣き笑い踊り歌う未来の向う側まで行こう」と歌う『ポラリス』で締めることであったり、未音源化の最新曲をセトリに入れることで現在進行形の曲も聴かせることであったり...というようなやり方で、しっかり現在とリンクさせているという、そのあたりのイガラシさんのバランス感覚が、なんというか、ちょっと言葉で表現するのが難しいんですけど、端的に言うとスゴく良かった(って言うと、なんか安っぽくなるな...)なと思います。

 

翌日も参加するということで、じつに5年ぶりにヒトリエのライブに2日連続で参加する(あの時は、試聴会+トークイベントだったけど)ことになるのですが、もうこんなに嬉しい・楽しいことがあっていいのか、と思うくらいです。愛。

 

 

セットリスト
01. SisterJudy
02. モンタージュガール
03. 日常と地球の額縁
04. Loveless
05. Namid[A]me
06. さらってほしいの
-MC-
07. アンチテーゼ・ジャンクガール
08. ワールズエンド・ダンスホール
09. (W)HERE
-MC-
10. 新曲 (シノダ作)
-MC-
11. アンハッピーリフレイン
12. トーキーダンス
13. シャッタードール
14. 踊るマネキン、唄う阿呆
-MC-
15. プリズムキューブ
16. センスレス・ワンダー
en. ポラリス

 

 

 

前に観た時の感想

 

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