ここ1週間で印象に残った5曲 (2024年4月第3週版)

よほど気心知れた仲という人でない限りは、「当たり障りない人間」というガワを被って人間関係をやっているんですが、そのガワがピチピチすぎるあまりちょっと長いこと被っているだけで綻びまくり、素の気持ち悪い自分が漏れ出まくり......そのたび爆裂に病むということをずっとやり続けています。そもそも、そのガワ被ってごまかせているのか自体も疑問。もうちょっと自然体で人間をやりたい、そのほうが結果的に良いことのほうがあるだろうなとも思うんですけどねえ...。自然体の自分を否定されまくってきた経験ゆえに、なかなかなぁ、というところ...。

 

 

261. OK & GO / ART-SCHOOL

 

2018年リリースの9thフルアルバム『In Colors』収録曲。

今週はなんか急に思い立って、アートの曲をずっと聴いていました。10年くらい前にベスト盤を友達に貸してもらって聴いたのがそもそもの出会いだったと思うんですが、その、やたらと退廃的な歌詞、そして衝動的なロックサウンドと相乗する繊細かつダイナミックな歌唱というのは、当時の自分の守備範囲を拡大するきっかけになったのを覚えています。

......というように、好きになったきっかけと理由からして、割と初期のアート厨みたいなところが長らくあった(それこそ去年『luminous』が出るまではそういう傾向が強かった)のですが、イヤイヤ...今更過ぎるかもしれませんが『In Colors』、びびるくらい名盤ですね...。

とくにこの『OK & GO』。ここまで生々しく気持ちを曝け出していることで、どこかART-SCHOOLというバンドが近くに感じられるようになったと言いますか。歌う人、また書いた人の、人となりが見えてくる歌詞が好きというのはこのブログではちょいちょい書いているのですが、これはまさにそれ。スゴくポジティブな意味で、アートがこういう観点で刺さることになるとは思ってもみませんでした。改めて聴いたからこその発見。

いや、でも、リリースした頃に聴いたときはあんまりこういうことは思わなかったんですけどねぇ...。それこそ今回は結構キャッチーだな~くらいだったと思います。こちらも歳を重ねて、音楽の聴き方が変わってきたということなのでしょう。

 

 

262. Dreaming Of You / ART-SCHOOL

 

上に同じく。

アルバムの序盤に弾みをつけるような、性急かつまっすぐに突き進むロックナンバーなのですが、そういった構成がゆえに中尾さんと藤田さんというふたりのリズム隊の力強さを感じまくる、そういった楽曲です。でも、ただ突き進むだけでなく、間奏で演奏がバッと止まったところに戸高さんのリフだけが鳴り響くあの瞬間があったりして、そういうところもなんだか、こう、洒落てていいなあとも思います...。今もやっているのかはわからないですけど、ライブで聴いてみたい1曲ですよね...。

歌詞は、木下さんが得意とする退廃的なやつなのですが、アルバムのタイトルにも冠されている「光」というワードが登場していて、しっかりアルバムの世界観と地続きになっていることがわかります。

 

 

263. Touching distance / ART-SCHOOL

 

こちらも上に同じく。

この時の木下さんが「転がっていけよ 一生 荒野の方へ そうさ rolling now!」というフレーズを書き上げたの、あまりにもグッとくる...。『In Colors』収録曲、歌詞が全体的にめちゃくちゃいいんだよな...。

 

 

264. プラズマクラシックシュージック / (夜と)SAMPO

 

元・ハンブレッダーズ、元・フィッシュライフなど、錚々たるメンバーを擁するバンド・(夜と)SAMPOが今年の1月にリリースした楽曲。

Spotifyでなんとなく目にした加速するラブズというバンドの曲がめちゃくちゃ良かったので、個々のメンバーが現在やっている活動もさらっと聴いてみたところ、その中でもめちゃくちゃ良かった曲です。社会人やりながら、それでいてメジャーデビューして...というのは夢があっていいですよねぇ...。

 

 

265. オン・ザ・フロントライン / ヒトリエ

 

TVアニメ『無職転生』のOPテーマとして起用された楽曲。

純粋な新曲としては『ジャガーノート』ぶりということで、それほど間があかず...というのが非常に嬉しいところです。そんな今曲はゆーまおさん作。

ゆーまおさんの曲と言えば、『風、花』、『ステレオジュブナイル』、『YUBIKIRI』のように、ざっくりと「明るい」という印象が強いため、シリアスな雰囲気を纏ったこちらは結構新境地感もあったり(とはいえ、系統的には『faceless enemy』に連なるかんじではあるので、まったく突飛ということはありません)。

また、ゆーまおさんが持ってきた段階で既にそう決まってたのか、アレンジの段階でそうなったのかわからないので、ここからはアレンジ全体の話として、なのですが、ラスサビ終わりでそのまま楽曲が終了するという展開も新しいですね。人気アニメのタイアップというところで、初めてヒトリエの曲を聴く人にインパクトを残すという方向にかじを切ったところもあるのでしょうか(アニメサイドからのオーダーというのもあるかも)。そういう意味では、『ジャガーノート』でモノにした感じもある、ディストーションがかった単音フレーズがふんだんに使われているのも印象的です。

また、歌詞については、傷つき喪いながらもそれでも守り抜きたいモノのために進むしかないという、ヒロイックな世界観が展開されていて、アニソンとしてはこの上ない仕上がり。同じくアニメのOPテーマだった『3分29秒』とは近いものがありますね。とはいえ、「やることをやるだけ」というメンタリティが歌われていたあちらよりも、もうちょっと、筆致に深刻さがにじんでいる感じも。ただ、この辺りの塩梅に関しては、アニメを観ないとわからないところではあると思うので、未見の私にはなんとも...。

ここまで歌詞についてアニメ、アニメと書いてきましたが、こういった内容と言うのは勿論ヒトリエそのものにも重なってくるもので、たまにあるタイアップ曲でバンドの世界観と乖離しまくっているということがないのが非常にナイス。とはいえ、ヒトリエ自体、こういった姿を表に出して...というモードからは既に脱しているような気はすると言えば、するなあというところです。

.........と、今思ったことを全部書いていたら、なんだかエラい長文になってしまったのですが、とりあえず、現段階の感想としては、好みとは若干ハズれているかな...(とした上で、インパクトはありまくる曲なのは間違いないと思います)というのが正直なところ。勿論、どんなバンド・歌手であってもリリースされる毎曲が大好きなんてことのほうが珍しいので、今回一度刺さらないからどうというわけではないですし、むしろライブで聴いたらまた変わるんだろうなという楽しみがあるので、結局のところはワクワクがあります。OOPARTSではやったみたいだけど、ツアーでもやってるんかな。

なんにせよ、私は信者なので、新曲出るだけで嬉しいというところです...。