2024/03/23 SANUKI ROCK COLOSSEUM 2024 (1日目) @高松市街ライブハウス

15周年を迎えたサヌキロックコロシアムに参加してきました。

 

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コロナ禍などでなかなか来れないうちに、実に2019年ぶりの参加です。久しぶりすぎる! 久しぶりゆえに、思う存分楽しみ切りたい!という予定を立てていたのですが、なんと想定外のトラブルが発生した結果、一日中観てまわるということが不可能に。そういうことで、今年はごく限られた夕方の時間帯にフォーカスすることになりました。ちょっと残念ではあります(ブルエンとか観たかった)けど、まったく参加できないわけではないですし、なにより大本命のヒトリエのライブは観られるので良いかな...というところです。

そういうわけで非常に慌ただしい到着となったため、急いで旧高松DIME周辺に置かれたパス交換所を訪れリストバンドを交換した上で、キュウソのセイヤさんがアーケードの真ん中でトークイベントに出演しているのを横目に、高松DiMEへ。

 

 


a flood of circle (高松DiME)

移転後DiMEお馴染みの長い階段を登り、場内に到達したところ、フロアはもう既になかなか混雑してる様子が見受けられます(それこそ、開演までに、何度も「もう少し前に詰めてください」というアナウンスがあったほど)。雨が降っていて肌寒い外とは反対に、人が多いことで暖房かかってんの!?ってくらいに暑さを感じるなかで、バンドはステージに登場しており、すでに『Dancing Zombies』でリハを行っているという状況。じつに久しぶりのフラッド(それこそ、2019年のサヌキロック以来)なのですが、佐々木さんの髪の色や黒い革ジャンを着ていないというところこそ記憶と差異はありながらも、とはいえ大きく変わったな~と思うことはそれほどなく、なんだかちょっと安心感があるというところもあったり。

サウンドチェックを終え一度メンバーが捌けたあとで、すこしの待ち時間ののちに、フェスのジングルが流れていよいよ本番へ。バンドのルーツを感じさせるブルージーなSEとともに、バンドがステージに登場します(その際、佐々木さんは缶ビールを掲げる様子も)。メンバー全員が楽器を構えたところで、「おはようございます、a flood of circleです。」というお馴染みの挨拶が。その流れで1曲目に放たれるのは、いきなりのキラーチューン『ミッドナイト・クローラー』です。「ミッドナイト」という単語を冠しているだけに寒色系の涼しげなカラーを交えた照明が印象深いのですが、それと対照的なのは佐々木さんの強烈な歌声。この響きはこの人以外には持ち得ないというものであるということを如実に理解させられるというほどのものです。

元々ライブにも足を運んでいるようなファンの方も多数いるというのが後ろからだとよくわかるフロア前方を中心にスタートダッシュが決まりまくっていることを感じさせられまくるというところで、2曲目『Dancing Zombies』でその熱気はさらに加速していきます。個人的な話ながら、この曲はリリース当初聴きまくったことで思い出深くもあるので、こうしてナマで聴くたびにテンションが上がりますね...。「ギター俺!」という号令とともに、2週目のリフ部分でギターを弾きまくる佐々木さんの姿もカッコイイです。

ここまでの畳み掛け具合にはライブを重ねまくってきたベテランゆえの実力も感じるのですが、まだまだその勢いは止まらずライブは進んでいきます。佐々木さんがギターを下ろすなかで鳴り始めるのはクラップの同期音。「改めて、四星球です、よろしくどうぞ!」と嘯いた上でタイトルコールを行って突入していくのは『如何様師のバラード』です。1サビの終わりあたりで佐々木さんが客席に缶ビールを投げこんだ上でフロアに突入し、ドリンクカウンターで酒を注文する姿がこの日のハイライトのひとつであるというくらいなのですが、「ダイブは禁止!危険行為は禁止だから!でも、おかわりは危険行為じゃない!」、「持ち時間30分なのにこれをやってる」というようなことを言うので、一見取っ付きにくいのかなというオーラも持った佐々木さんが親しみ易く感じられるというところもあったり。

そんな巻き込まれざるを得ない...というパフォーマンスを終え、佐々木さんが再びステージに戻って、次に演奏するのが「新しい曲」であることを告げます。曰く、その曲は新しいことはやっていないし、そもそも先進的なことを求めるならばインターネットを見てくれとした上で、「変わらないものがあるぜ、ロックンロールが!」と。そんな、ロックンロールしか持たないドキドキに魅せられ続けている自分にとっては刺さりまくるMCの流れで演奏されるのは『キャンドルソング』です。MVの印象や音源でのギターサウンドに引っ張られているのもあって、これまではどこか儚げな曲であるというイメージもあったのですが、こうしてナマで聴くことで、むしろ確かな強さを強烈に感じさせられる...と思いました。この日のセトリではいちばん印象が変わった曲かもしれません。

近年の曲が連続することで、バンドの最新モードを見せていくという姿勢も感じ取れるのですが、この流れで続いたことでそれをより感じられるのは『月夜の道を俺が行く』です。言ってしまえば、フラッドはその活動年数の長さからベテランという域にまで踏み入れつつあるバンドであると思いますが、そういったバンドからこれほど青々しく衝動的な曲(勿論、良い意味で)が出てくるのはなかなかないことであると思います。この日は演奏しませんでしたが、武道館への意気込みを歌った『ゴールド・ディガーズ』も含め、近年のフラッドはあまりに佐々木さんの生きざまが反映されていて、それゆえにグッときます。

そして、「俺たちとあんたたちの明日に捧げます」という前口上とともに演奏される『シーガル』はそういった生きざまがアケスケに刻まれた最新モードからの流れだからこそ、より強烈に感じられるナンバーです。それこそ、なんなら今のフラッドが演奏するからこそ、という輝きすらも生まれているのではないでしょうか。2サビ後半で、「エビバディ!」という言葉とともにマイクを向けられたことで大合唱となったフロアも、そんなバンドと共鳴しまくっていると思えるほどです。

『シーガル』で熱気がピークに達したことや、30分という持ち時間ですでに6曲を詰め込んでいること、などからさすがにこれで終わりかなと思っていると、そんな予想に反し、ここで佐々木さんが徐に歌い始めたのは『本気で生きているのなら』。先に、近年のフラッドは佐々木さんの生きざまが反映されまくってる、というようなことを書いたのですが、この曲はまさにその極致であるというもの。シンプルな楽曲であるからこそ、その歌詞と、それを強烈に浮き彫りにさせる演奏と歌唱の素晴らしさを感じられます。名演でした。

これだけ圧倒的なパフォーマンスをしていながら、佐々木さんが「3分押しちゃった...」と言いながら去っていくのがなんとも人間味を感じさせたというところも含め、強烈に記憶に残るライブであったと思います。久しぶりに観られてよかったと思います。

 


セットリスト
01. ミッドナイト・クローラー
02. Dancing Zombies
03. 如何様師のバラード
04. キャンドルソング
05. 月夜の道を俺が行く
06. シーガル
07. 本気で生きているのなら

 

 

ヒトリエ (高松オリーブホール)

フラッド終わりにfesthalleに移動して、THE BAWDIESを観ることでロックンロールコンボ!......なんて思っていたのですが、熱気+久しぶりの飲酒で結果的に若干体調を崩してしまい、断念...。そういうことでここは素直に休むことにして、無事回復したところでヒトリエが出演するオリーブホールへ。ワンマンこそそこそこの頻度で観ているものの、こうしてフェスで観るのはCDJ19/20以来です。

17時過ぎに場内へ到着すると、すでにメンバー(シノダさんは柄シャツ、イガラシさんは点線状にラインが入った黒服、ゆーまおさんはオレンジ系のシャツという出で立ち)がステージ上でサウンドチェックを行っているというタイミング。私は信者ゆえにこうして個々のメンバーがそれぞれに鳴らしている音を聴いているだけでも楽しい(とくにシノダさんは『猿の学生』、『水の中のナイフ』、そしてこれは合ってるのか怪しいのですが恐らく『ピーターパンシンドローム』と、日本のロック名曲のギターリフを要所で奏でるのでたびたびオッとなります)くらいなのですが、とはいえやっぱり曲でのサウンドチェックとなるとバンドのサウンドの強力さをより感じられます。シノダさん個人で奏でたELLEGARDENの『風の日』は世代的にぶっ刺さりまくりますし、「どうします?なんかやります?」と言って始まった『ゲノゲノゲ』、「もう1曲くらいやります?」ということで演奏した『SisterJudy』と、早めにきて良かったな~と思うような大サービス。結構、前のほうにいたのですが、普段からライブにも来ているようなファンばかりだったのでしょう、客席は既に本番さながら腕が上がりまくっているという様子です。

「"そいでは"本番よろしくお願いします」とちょっとおどけたような口調でシノダさんが言い残してステージを捌けたあとで、暫しの待ち時間。ファンの気持ち的には、ここで初見の人がたくさん来てくれて6月の高松ワンマンが大盛況になってくれたらな~なんて思い、開演直前に後ろを振り返ってみたところ、規制こそかかっていなかったもののなかなかの埋まりっぷりでした。

そうこうしているうちに開演時間。SE(最近使っているやつと同じなのかはわからず...)が鳴るなかでメンバーが登場します。さっきすでに一度姿を見ているものの、それでもやはりこの瞬間の高揚というのは変え難いものがありますね...。

楽器を構えたところで、ここでバンド全体で奏でられ始められたのはミッドテンポかつ長調(たしか)のロックンロール感があるフレーズです。個人的には初めて聴くものだけに、これで繋がっていく1曲目はなんだろう?と期待がふくらむ...というなかで、テンポを変えることなくシームレスに『ジャガーノート』に繋がっていくのだから、普通にはじまる以上にテンションがとにかく上がりまくります(イガラシさんのベースがスティングレイでなかったことで余計に予想してなかったのですが、でもワンマンじゃないので何本も竿を持ってくるわけもなくそれはそうだなあというところです)し、ヒトリエのライブにおけるキラーチューンの多くでお馴染みの、ライブならではのイントロがこの曲にも追加されたということがわかります。この曲の個人的なぶち上がりポイントはサビ終わりの歪みまくったギターリフなのですが、1番のそれが終わったあとにシノダさんが上手の端でピースサインをしており、それを観たこちらとしても最高!(ピース)という心境です。

ラストの一節を半ばシャウト気味に歌って1曲目にして並々ならぬ気合いを感じさせたところで、その勢いのままフルスロットルで突入していくのは、1月のリキッドワンマンでライブアンセムとしての完成をみた『ハイゲイン』です。ラスサビ冒頭で指差しでの手振りを交えるシノダさんの姿があまりにカッコイイ事も含め、『ハイゲイン』は最高すぎるのでまじで毎回聴きたい!!!

これまでのロックすぎる流れで、個人的にはもうぶっ飛ばされまくっているくらいなのですが、ここで一度MCの時間です。サヌキロックに来るのが7年ぶりと久しぶりになったことと、バンドが10周年を迎えたことを軽く話した上で「10年の歳月の恐ろしさを思い知らせてやりますよ」なんて仰々しいことを言う(それこそ後ろの方から「怖いな~...笑」という声も聞こえていたくらい)ので、次はどんな選曲をしてくるのか...と思っていたら、始まったのはヒトリエ史上最大級のポップソング『風、花』。たしかに、10年の歴史のなかでこういう曲をやれるようになった恐ろしさ(恐ろしさ?)っていうのはたしかにあるのかな~なんて思ったり。いや、そもそも、深い意味はないんだとは思いますが...。

ここまでで3人体制になってからの楽曲が連続していることで、スリーピースロックバンドとしての再出発という出来事を経て積み重ねてきた歴史とその中で得られたバンドとしての新たな手ごたえを打ち出しているということを感じられたりもする(それこそサヌキロックには3人での出演は初となったことでよりそう感じます)のですが、シノダさんがひとりでサビのコードを奏でた上で「7年ぶりという時間に比べたら短すぎるが、お前らにぶちかますのには十分すぎる3分29秒」(激ニュアンス)という前口上とともに演奏される『3分29秒』もまさにそれであるという1曲です。印象的なリフのパートでストロボライトが激しく灯されていたのですが、これがとにかくハマりまくっていてちょっとゾッとするくらいにカッコよかったです。

近年のヒトリエのライブでは欠かせない、名刺代わりとも言えるシングル2曲を演奏したところで再びのMC。「サヌキロック大好きで...じゃあなんで7年間も来なかったんだって言うと、申し訳ないんですが...笑」とサヌキロックへの愛を告げたところで、6月の高松DiMEでのワンマンの宣伝をするのですが、ツアータイトルがごちゃごちゃになってしまい、最終的に「ワンマンツアー、ぜひ、まじで、絶対きてください」(ぜひ、まじで、絶対、のところは強調する感じでした。あと、この3つの文言自体は合っている自信があまりないです...)というシンプルなところに着地していたのがなんだか面白く感じられました...。

そうして、いよいよライブもクライマックスということで「オリーブホールをぶっ壊すくらい」の合唱を求めた上ではじまるのはこの日初のwowaka曲『アンノウン・マザーグース』。シノダさんが弾き語りでひとまわし歌ってから、「ワン・ツー!」の号令で合唱を促す光景はいつ居合わせたって最高なんだろうなと思えます。そして、この日は1発目のリフのところでイガラシさんとシノダさんがステージ中央にグイッとでてくる瞬間があり、それがカッコよすぎても~~~やられました...(私が記憶できてないだけでいつもしているのかもしれないですが...)。

演奏を終えたところで逆光のように明るい光が灯ってすこしずつ消えていくという照明の演出がとてつもなくグッときているところなのですが、時がすぎるのはあっという間。「ありがとうございました、ヒトリエでした」(たぶん、言ってたはず...)ということで次は早くもラストの曲です。最近の感じだと『ステレオジュブナイル』かな...と思い身構えていたのですが、その予想は外れ、鳴り始めるのは歪みまくったエレキギターの音と性急かつ強烈なビート。『センスレス・ワンダー』です。こうなると、もう何も覚えていられない、センスレス締めは圧倒的すぎる...というところではありつつも、シノダさんの歌唱がBメロとか割とがなるような感じだったという記憶はかすかにあったり。でもスピーカー近くだったので、ただの聴こえ具合の問題なのかもしれない...。結局のところ何も覚えとらんということです...。とにかく最高でした...。

圧倒的すぎる演奏を終えてステージからメンバーが捌けてライブが終了。30分だと体感一瞬すぎますね...。とはいえ、短い持ち時間でありながらも、いまのヒトリエだからこそというサウンドをしっかりセトリに詰め込んできたことで、バンドの現在地点をサヌキロックの年表に改めて刻み込むようなパフォーマンスであったと感じました。たしかに、かつてのヒトリエのパブリックイメージであった「四つ打ち」、「踊れるサウンド」というものからは距離を感じるセトリだという印象は実際ありながらも、とはいえ、今のヒトリエはそういう部分を積極的に打ち出さずともこれだけスゴいし、カッコイイライブをやってのけるというところにひたすらグッときましたね...。

余談ですが、会場を出る時に、初見であったであろう人達が「カッコよかったね!」と言っていたこともなんだか嬉しかったです。

 

セットリスト
sc01. 風の日 / ELLEGARDEN (シノダ弾き語り)
sc02. ゲノゲノゲ (2サビ途中まで)
sc03. SisterJudy
01. ジャガーノート
02. ハイゲイン
MC
03. 風、花
04. 3分29秒
MC
05. アンノウン・マザーグース
06. センスレス・ワンダー

 

 

結果的に2バンド観ただけで、私のサヌキロック2024はフィニッシュとなったのですが、それでも充実した時間になったな~と思えるのは、観られたバンドのパフォーマンスが良かったから、というだけではなく、このイベント自体の雰囲気がやっぱり好きだと思ったから。大小様々な規模感のライブハウスが密集している地域であるゆえに、街全体を巻き込んだ上で一丸となってやっている感があるのがなんだかいいなあと思うんですよね。地方でこういった光景をお目にかかれることってなかなかないのではないでしょうか。たびたび高松のライブハウスに足を運んでいてロックバンドとの想い出と紐付いた思い入れも強くあることもあって、これからも末永く続いてほしいなあと思うイベントです。

 

 

 

前に観たときの感想

 

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